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2018.4.10


【コラム】相続による自動車移転登録申請の際に必要となる戸籍の範囲について


 去年、今年と、年度末に姫路自動車検査登録事務所(いわゆる陸事)に行政書士会から相談員として派遣される機会があったのですが、わりと多い相談の一つが、相続した自動車の廃車手続きについてでした。
 相続した自動車を廃車するためには、いきなりスクラップに出してしまった場合は別として、一旦、相続人の名義にしてからでないと抹消登録ができないのですが、この名義変更の際に、亡くなった人とその相続人を証明するために戸籍謄本などを申請書に添付しなければなりません。我々行政書士からすれば戸籍を読み取って相続人が誰なのかを確定することは簡単な作業なのですが、これが一般の方々にはどうやら骨の折れる作業のようでして、とりあえず相談に来られます。
 そう、、戸籍を読み取って相続人が誰なのかを確定すること自体は簡単なのです...。被相続人の出生から死亡までの間に編成された戸籍又は除籍謄本、原戸籍、改製原戸籍と、相続人の戸籍抄本、さらに必要な場合には遺産分割協議書とか相続放棄申述受理証明書、後見人、特別代理人や不在者の財産管理人の選任審判書、家庭裁判所の許可書などを集めれば良いだけなのですから。そして、これらは預金や不動産の名義変更の際には漏れの無いようにカンペキに揃える必要がある書類です。
 しかし、ここで自動車の相続の場合にのみ適用される独特のルール?のようなものがあるようでして...、どうやら自動車に限ってはカンペキに揃える必要が無いようです。
 どういうことかと言いますと、自動車の相続手続きの際に必要となる戸籍の範囲は「亡くなった人の死亡の事実が載っているものと、自動車を相続する人が本当に相続人だということが分かるものがあれば良い」とされているようです。そう、、これだと、例えば、自動車を相続する人の兄弟姉妹が結婚などの理由で戸籍から抜けた事実があったとしても、それ以降の戸籍抄本を添付しなくても良いことになります。しかし、これでは、その後にその兄弟姉妹が亡くなり代襲者が存在していたとしても分かりません。他にもいろいろと問題はあるのですが、とにかくカンペキに揃える必要が無いようです。さらに厄介なことに、遺産分割協議書との整合性が取れればオッケーという扱いのようなので、厳密に相続人の調査をすればするほど書類が増える可能性があります。
  ですので、相談窓口では、法定相続人に漏れがなく遺産分割協議が有効に成立していることを確認するのではなく、あくまでも自動車の移転登録申請に最低限必要な書類が揃っているかどうかの確認を行うだけにしているのですが、なんとも悩ましい限りです。
 
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